住民と自治体との ”心理的近さ” が、行政サービスのデジタル化ニーズにプラスの影響
サイバーエージェントは官公庁・自治体のDX推進支援を行うデジタルガバメント推進室において、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター、レジリエントシティ研究ラボと共に、デジタルガバメント(以降デジガバ)に関する住民ニーズについて、様々な統計分析および機械学習を用いた共同調査研究を実施した。
本調査研究は全3回の発表を予定しており、このたび第1弾の研究発表では、どのような人がデジタルガバメントへのニーズを抱えており、またどのようなことがニーズの高さに影響を与えるのかに関する全体の傾向について報告されている。
なお、以降紹介するアンケート調査結果は、Webパネル29,027人を対象とした一次サンプリングで「自治体ホームページの閲覧経験がある」と答えた回答者から、全国15歳~89歳の4,129人を人口構成比に基づく割当法により抽出された、全国15歳~89歳、計4,129人が対象。
デジガバ推進の鍵は住民と自治体との心理的近さ
自分が住む自治体との”近さ”を感じるのは、「地域のイベントに参加したとき」「選挙や住民投票のとき」「災害が発生したとき」との結果が出た。
さらに、「自治体との“近さ”をどんなときに感じるか」という本調査結果に、デジガバニーズの高低の因果関係を明らかにするため、独自の線形回帰モデルを用いた統計的因果推論を用いたところ、デジガバニーズの高さにプラスの影響を与えるのは、「地域のイベント(お祭りや、屋外での催し)に参加したとき」に自治体との近さを感じるという回答項目であることがわかった。
デジガバニーズが高い人は安心・安全な暮らしを求める傾向
住民が求める暮らしの理想は、安心・安全でお金の心配がなく、穏やかで充実した老後を送ることという結果が出た。
さらに、「暮らしの理想」に関する本調査結果に、デジガバニーズの高低の因果関係を明らかにするため独自の線形回帰モデルを用いた統計的因果推論を用いたところ、デジガバニーズの高さにプラスの影響を与える項目は「災害や犯罪から守られた安心できる毎日」「お金の心配の少ない暮らし」「静かで煩わされない暮らし」であることがわかった。
上記二つのファインディングスより、本調査では、住民のデジガバニーズをより一層高めるには、地域のイベントを積極的に開催する、あるいは安心・安全をテーマに住民との接点を設けることがポイントになると考察をしている。
また、本調査結果からは、デジガバに消極的な層は存在するものの、年代が決め手にはならなかったというファインディングスも得たと報告されている。
自治体の情報発信の基本は、見やすいホームページづくり
自治体とのやりとりの手段として、約6割(59.4%)が公式ホームページ、スマートフォンアプリが最も望ましいと回答。自治体の公式SNS(LINE、Twitter、Facebook、その他)は合計して7.7%にとどまった。自治体は、マルチチャネル化を進めるだけではなく、公式ホームページのUI・UX(ユーザー体験)を工夫する必要があるとしている。
(執筆:デジタル行政 編集部 野下 智之)