総務省がオンライン地理空間情報学習研修「Geospatial Hackers Program 2021」を開催 [ニュース]
総務省は、委託事業「令和3年度地理空間情報を活用可能な人材の裾野拡大に向けた人材育成プログラムに関する調査研究の請負」の一環として、「Geospatial Hackers Program 2021」を2021年12月中旬から2022年3月にかけて開催する。運営は株式会社HackCampが行い、プログラムの参加者を11月20日から募集する。受講料は無料。
本事業では、防災・観光・地域活性化などに有用なデータを可視化する技術としての「地理空間情報」に着目、その担い手を育成する。高等学校では2022年4月から「地理総合」が必修となり、地理空間情報システム(GIS)活用人材の育成が日本においても大きな目標となっているが、本事業においては主として学生・社会人を対象に3つの学習機会(動画・ハンズオン・実践研修)をすべてオンラインで提供する。
コースは、①自治体職員・NPO/市民団体・学生等向けでプログラミング未経験者を対象とする「初学者コース」、②地理空間情報についての知識や取り組み経験がないプログラミング経験者を対象とする「技術者コース」の2つ。いずれも動画教材で地理空間情報を取り扱う知識や基礎技術を学び、「ハンズオン講習会(事前学習)」で例題演習を実施する。さらに「実践研修」では防災・減災をテーマに、学んだ知識を活用してチームで防災・減災に資するサービスのプロトタイプ(アプリ等の試作品)を開発する。実践研修のみ「初学者・技術者」の2コースを「東日本・西日本」のエリア別に分け、計4回×2日間のイベントでアイデア出しからサービス開発までの流れを学ぶ。
また、初学者コース実践研修では、2018年7月の西日本豪雨で発生した「岡山県真備町の大水害」において、実際に現地で支援をした災害看護の専門家で高知県立大学の神原咲子特任教授が、技術者コース実践研修では2021年7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流で原因特定にGISとオープンデータを活用した静岡県建設政策課チームがインプット講演を担当する。
いずれも具体的な課題解決が必要な災害現場において成果を挙げた実践者から、データを可視化する地理空間情報の有効性について話を聞いた上で、「隣県で災害が発生した」という想定で、被災地の課題解決に役立つサービスをチームで開発するシミュレーション型研修となっている。
各実践研修では、参加者間で投票を行い、最も支持を集めたチームが3月初旬に開催予定のオンライン成果発表会で、成果報告を実施する。全プログラムの参加者には総務省より修了証が授与される。
ハンズオン・実践研修の日程の詳細と申し込みについては以下のサイトより確認できる。
【開催概要】
1.主要な対象者
地域課題解決に地理空間情報を活用したい人向け。Officeソフトが使えるレベルが目安。
コースはプログラミング経験の有無によって2つのコース構成となっている。
①初学者コース(プログラミング未経験者(主に自治体職員・NPO/市民団体・学生等向け))
自治体職員・NPO/市民団体・学生等で地域課題解決に地理空間情報を活用したい人向け。Officeソフトが使えるレベルが目安。
◆学習目標
- 地理空間技術の概念・データの種類を知る。
- 地理空間情報でできることを知る。
- オープンデータを自分の力で地図に表現できる。
- チームで1つのサービスを開発する。
◆動画教材
- 地理空間情報入門
- 地理空間情報の基本
- 地理空間情報・データ概論〜データとはどんなものがあるか〜」
- オープンソースのデスクトップ GIS ソフト「QGIS」入門
②技術者コース(プログラミング経験者)
地理空間情報技術にふれたことがないエンジニア・プログラマー。特に、シビックテック(市民参加型のテクノロジーによる地域課題解決)に関心ある技術者。(地理空間情報の知識がある方にとっては基礎的な内容となっている)
◆学習目標
- QGISを操作・活用できる。
- leafletを活用したWeb地図が制作できる。
- 点群データの概要と基本的な活用ができる。
- アイデアを地図サービスに展開するプロセスを習得する。
◆動画教材
- 地理空間情報技術の基本
- オープンソースのデスクトップ GIS ソフト「QGIS」入門
- Web地図ソフトleaflet入門
- 静岡県熱海市の土石流災害で活用された「点群データ」入門
※社会人/学生を問わず、原則としてオンライン上のハンズオン講習会(3〜4時間程度)と実践研修(初学者2日間、技術者2.5日間)の両方に参加可能な人。
2.プログラムのプロセス
自習動画教材(ハンズオンまでに自習する教材) 2021年12月中に学習
地理空間技術者の知識が得られるハンズオン講習会 (日時指定型研修) 2022年1月上旬
サービスプロトタイプ作りを目的とした実践研修(2日間)の実施 (日時指定型研修) 2022年1月中旬〜2月中旬
3.日時指定型研修の日程:いずれもオンラインで2022年1月から実施予定
(1) 初学者向けハンズオン講習会
日時:1月8日(土) 9:30〜12:30
内容:QGIS×オープンデータで避難所地図を作ろう
(2) 技術者向けハンズオン講習会
日時:1月9日(日) ①9:30〜12:00 ②13:00〜14:30
内容:
①Leafletを利用したJ-SHISの地震情報の可視化
ウェブ地図を作成するためのJavaScriptライブラリ「Leaflet」を利用して,地震ハザードステーション J-SHISが公開している地震情報(地震ハザード情報)を可視化する。
※HTML&Javaスクリプトの基礎知識を必要とする。データベースの知識は不要。
②VIRTUAL SHIZUOKAの点群データを使ってみよう!
静岡県熱海市で発生した土砂災害発生時、原因特定に貢献した静岡県による3次元の地理空間情報。この3次元の直交座標 (x, y, z) で表現される点群データは話題のメタバースやデジタルツインの基礎となるもの。本動画でこの基盤データの基礎を学ぶ。
(3) 東日本エリア実践研修
Vol.1 初学者向け(2日間)
1月22日(土) 9:30-17:00(Day1/インプット・アイデア出し)
1月23日(日) 9:30-17:00(Day2/プレゼンテーション・参加者投票)
Vol.2 技術者向け(2.5日間)
2月5日(土) 9:30-17:00(Day1/インプット・アイデア出し)
2月12日(土) 9:30-11:30(自由参加・中間報告)
2月19日(土) 9:30-17:00(Day2/プレゼンテーション・参加者投票)
(4) 西日本エリア実践研修
Vol.1 初学者向け(2日間)
1月29日(土) 9:30-17:00(Day1/インプット・アイデア出し)
1月30日(日) 9:30-17:00(Day2/プレゼンテーション・参加者投票)
Vol.2 技術者向け(2.5日間)
2月6日(日) 9:30-17:00(Day1/インプット・アイデア出し)
2月13日(日) 9:30-11:30(自由参加・中間報告)
2月20日(日) 9:30-17:00(Day2/プレゼンテーション・参加者投票)
(5) Geospatial Hackers Program Demo Day (成果発表会)
各実践研修における参加者投票で、1位を獲得したアイデアについて発表・表彰を行う。
日時:3月5日(土)(予定/オンライン開催)
※各地域におけるハンズオン講習・実践研修等の日時はいずれも現在の予定。
※実践研修については東日本(北海道・東北・関東・甲信越・北陸)在住の方は東日本の回(3) に、西日本(東海・近畿・山陽・山陰・四国・九州/沖縄)在住の方は西日本の回(4) へ参加すること。
【Geospatial Hackers Program Connpassサイト】
詳しい情報については、以下のサイトにて入手可能。
※原則としてハンズオン・実践研修の両方に参加できることが望まれる。
【参加申し込み】
下記のグーグルフォームから申し込みが可能。
https://forms.gle/ctttEWi9FeDLqwc6A
【プログラム参加者用Slackワークスペース】
本プログラムに関心ある方・参加希望者は以下のコミュニケーションツール Slackへの登録が推奨される。事務局からの連絡や参加者同士のコミュニケーションを行う。
・Slack招待URL
https://join.slack.com/t/geospatial-hackers/shared_invite/zt-6k6oz3s5-9PvXZ6z2QeaYK4Vc7mR3gw
(執筆:デジタル行政 編集部 與那嶺 俊)