作成機能、窓口連携機能、お悔やみサービス機能を備えた群馬県・大泉町の「書かない窓口」とは[インタビュー]

作成機能、窓口連携機能、お悔やみサービス機能を備えた群馬県・大泉町の「書かない窓口」とは[インタビュー]

大泉町役場 住民経済部 住民課 課長の須永真希夫さん(右)、書かない窓口担当職員の長谷川剛さん(左)

群馬県邑楽郡大泉町では、2022年4月1日より「書かない窓口」の本格運用を開始。書かない窓口導入は県内初だった。住民課窓口において、この窓口支援システムを取り入れることにより、来庁者の負担を軽減。住民サービスの向上とともに、職員の業務の効率化を図っている。運用に至った背景や経緯、効果などについて、大泉町役場 住民経済部 住民課 課長の須永真希夫さんが教えてくれた。

(聞き手:デジタル行政 編集部 手柴 史子)

住民にも職員にもやさしい3つの機能

書かない窓口の様子

大泉町では主に住民課を起点として書かない窓口を展開しており、関係課も一部連携している。3つの機能を紹介しよう。

1、申請書などの作成機能
OCR機能のついたカードリーダーで、マイナンバーカードや免許証の券面情報(住所・氏名・生年月日・性別)を読み取り、その情報を利用して、職員が申請内容の聞き取りを行いながらシステム入力することで、申請書が作成される。
免許証やマイナンバーカードを持っていない方については、保険証などの身分確認書類をもとに作成する。

2、窓口連携機能
住民異動の手続き時に、住民課窓口以外で必要となる手続きをシステムで自動判定し、手続き案内一覧表を来庁者に交付している。その後、システム機能連携で各課の担当窓口に通知が行くため、来庁者が窓口に来る前に事前の案内準備が可能となる。

3、お悔やみサービス機能
死亡届出の際に必要とされる手続きをシステムで自動判定し、手続き案内一覧表を交付している。これによって、遺族は一目で必要な手続きを把握することができる。

なお、住民課での手続きの流れは次の通りだ。

1、受付で来庁者の用件に応じて番号札を渡す。
2、来庁者は番号が呼ばれたら窓口に向かう。職員が必要な情報を聞き取りながら申請書を作成。申請書が整ったら液晶タブレットで内容を確認してもらい、電子署名の後、証明書を交付する。

書かない窓口によって、住民票や印鑑証明書といった証明書の発行に関しては、手続き時間を約半分に時短することができているという。また、「窓口での聞き取りの際に、証明書の提出先の確認や、どのような証明書が必要になるのかといった相談にのることで、必要な書類をお待たせせずに発行できるようになりました」と須永さんは話す。

来庁者の約95%が利用しやすくなったと回答

大泉町庁舎外観

来庁者からは、「申請書を記入しなくて良くなったため、楽になった」「分からないことを質問しながら手続きができるので、良いサービスだと思う」という声が多く届いている。また、大泉町にはブラジル国籍の方をはじめ、多くの外国籍の方が居住しており、人口の20%以上が外国人だという。「日本語を書くことが困難な方も多いので、申請書を書かずにマイナンバーカードなどを使用して聞き取りで手続きを進める窓口は、大変好評を得ています」(須永さん)
2023年12月から2024年2月にかけて実施した来庁者向けのアンケート結果では、書かない窓口について、回答者347人中331人、率にして95.4%が、利用しやすくなったと回答している。

現在、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化が進められているが、大泉町では新庁舎の建設に向けて、事務手順の見直しも並行して行っている。「来庁した方が手続きに戸惑うことなく、よりスムーズに、かつ職員にも使用しやすい業務フローについて、今後も検討を続けていきたいと考えています」(須永さん)