佐賀県、社外プロ人材を活用した県内スタートアップへの伴走支援事業「Startup Assign SAGA」を開始
佐賀県は、県内スタートアップ企業への伴走支援事業「Startup Assign SAGA」を推進するにあたり、日本最大級のナレッジプラットフォームを運営する株式会社ビザスクを連携パートナーに採択した。ビザスクを通して企業にとって右腕人材となる社外プロ人材をマッチングし、半年間の伴走支援を提供することで、県内スタートアップ企業の事業拡大に貢献する。
記事提供:株式会社ビザスク
社外プロの伴走支援で一人ひとりの「起業家」から大きな「企業」へ
佐賀県では、「佐賀から世界を目指せる起業環境を」をゴールに、人や企業のつながりを活かし、有望な起業家をじっくりと育てる「佐賀型」のスタートアップ支援を行ってきた。その結果、これまで50名を超える起業家が誕生するとともに、全国や九州のアワードで受賞したり、独自の技術やアイデアで特許を取得するスタートアップが現れている。一方、更なる事業拡大のためには一人ひとりの「起業家」から大きな「企業」となれるよう人材確保や組織づくりが課題だ。
そこで、今年度から最適な社外プロ人材をアサインすることで県内スタートアップ企業の更なる事業・組織の拡大を目指す「Startup Assign SAGA」(以下、本事業)がスタートする。
本事業は、佐賀県がこれまで行ってきた個別指導プログラムに採択されたり、県が主催するビジネスプランコンテストで受賞したスタートアップ企業が主な対象となる。デジタルマーケティングや資金調達、海外展開など、各企業が今後強化を目指す領域に応じて、ビザスクが最適な社外プロを「右腕人材」としてマッチングし、約半年間の伴走支援を提供する取り組みだ。県内スタートアップ企業の成長を促進すると共に、将来的な経営人材の創出を目指す。
なお、支援対象企業は費用負担なく、社外プロ人材の伴走支援を受けることができる。
自治体の想いと展望〜外部人材の活用が打開の一手になることを期待〜
佐賀県産業DX・スタートアップ総括監 北村 和人氏
佐賀でもこの数年の取組の結果、50名以上の起業家が誕生し、九州や全国でのアワード受賞も増えてきました。
この先、もう一段のビジネスの拡大には、これら有望な一人一人の「起業家」が「チーム」を形成していく必要がありますが、人や企業の数が多くはない地方では、この点が資金調達と並んでボトルネックの一つです。今回、外部人材の活用がその打開の一手になることを期待しています。
先人起業家から学ぶキックオフイベントには県内スタートアップ18社が参加
本事業のキックオフイベントとして、2023年7月23日に起業家講演及び外部人材活用セミナーが開催された。当日は、県内スタートアップを中心に18社がオフラインで参加した。
◎起業家講演〜苦境を越えてたどり着いた地方型スタートアップ組織論〜
登壇者:
株式会社ビズ・クリエイション 代表取締役 初谷 昌彦氏
広島県広島市出身。2008年、ビズ・クリエイションを創業。住宅業界に特化した広告会社として県内の取引先を増やし、新規住宅情報誌の立ち上げ、工務店だけの住宅展示場「岡山工務店EXPO」の企画運営を経て2017年、住宅建築業界をもっとユーザー寄りの業界にするべく、住宅業界向けワンストップ集客ツール「KengakuCloud‐ケンガククラウド」をリリース。地銀系VC3社からの出資を経て、2023年6月現在全国約960社の住宅会社に導入。
①ハードシングス、②復活の狼煙、③業務委託の登用の3つのテーマで、ビズ・クリエイションでのリアルな経験を交えてノウハウが伝授された。
①ハードシングス
新規事業推進のためVCから資金調達をし、大量採用するも、一方で事業は計画通り伸びない状態に。既存の広告事業にも影響し、会社として赤字を掘って進んでいくことに。最終的に大量解雇を余儀なくされ、従業員が激減。
②復活の狼煙
既存の広告事業をまずは立て直すことにした。今まで紙媒体が中心だったが、web広告に力を入れたりイベントを行ったりと戦略を練り直した。
しかし、コロナによりリアルイベントが行えなくなり再び危機が到来。そんな時、コロナ禍をきっかけにweb集客をワンストップでサポートする新規事業「KengakuCloud」の需要が一気に高まることに。ここが踏ん張りどころだと社長とエンジニアの2名体制で営業からカスタマーサポートまで全てに対応し、少しずつ経営状況が回復していった。
③業務委託の登用
ここまでの一番の反省点は、プロダクトがマーケットにフィットしているかわからない状況で、採用人数の計画遵守を最優先に考え、無理な人員増加を推進してしまったことだ。そこで、ここからはマーケットのニーズに併せて、必要なスキル/経験/知見を持ち合わせているかを重視し、正社員に拘らず業務委託の採用を進めることにした。結果的に、スタッフの多様性が増加し、自社に必要な知見を持つ日本中の人員を登用することとなった。
地方は隠れた人材の宝庫であるが、自分たちのいる身近な場所にその会社にとって最適な人材がいるとは限らない。日本中に目を向けて、”今まさに必要なスキル・知見”を持ち、事業や想いに共感してくれるぴったりの社外人材を探すことが大切だ。
講演の最後には、「対面とオンラインで社員とのコミュニケーションで気をつける点は異なるか」「リモート社員の入社時はどのような方法でオンボーディングをしているのか」など、リモートの業務委託社員を多数採用している初谷氏への質問が多数飛び交った。
◎外部人材活用セミナー
ビザスクの中長期間の伴走支援サービス「ビザスクpartner」を統括する草野 琢也より社外人材活用に関するセミナーが行われた。
あらゆる業界・業種において採用難易度が高まる中で、人材採用をするという戦略だけでなく、必要な人材・知見を自ら選択して調達・活用するという選択肢を取ることが必要となってきている。
一口に社外のプロ人材の活用といっても、活用方法は様々だ。経営陣の壁打ち、成長中社員のメンター、プロジェクトの支援・推進など企業の課題やニーズに合わせて最適なプロ人材を最適な用途で活用していく。
では、どのように自社に最適な社外のプロ人材を見極めるのかというと、まずは大前提として経験業界やスキルが合っているかを見る必要がある。次に、実際にその人が経験しているフェーズが自社とマッチしているかも重要だ。業界は合っていても、創業期と衰退期のどちらを経験しているかでできるアドバイスも大きく異なる。そして最後は、やはり人となりも大切だ。社風にあった人柄、コミュニケーションスタイルの人材の方がうまくいくことは間違いない。
支援企業が以下の3社に決定し6ヶ月の支援始まる!
キックオフイベントと同時に本事業の申し込みを開始し、審査会を経て応募企業から下記の3社に支援対象企業が決定した。
◎株式会社すみなす(https://suminasu.jp/)
◎株式会社Dessun(https://www.dessun.jp/)
◎株式会社 Retocos(https://retocos.com/)
今後は、各支援対象企業に対して最適な”右腕人材”をビザスク登録アドバイザーからマッチングし、2023年9月ごろから約半年間の伴走支援がスタートする。
また、伴走支援期間が終了した後の2024年3月には、県内スタートアップ企業向けに成果発表会を開催し、支援企業の成果を広く共有することで、地方スタートアップ企業の幅広い事業拡大及び社外人材の活用推進につなげる。