4割超の自治体が第三期データヘルス計画において「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を強化へ【デジタル行政自治体アンケート調査】
デジタル行政は、令和4年11月から12月にかけて、全国1,741市区町村の健康推進事業および介護事業担当課を対象に、第二期データヘルス計画取り組みの現状と、第三期計画に向けた取り組み意向に関するアンケート調査を実施した。
急速な人口高齢化の進展や疾病構造の変化のなか、これに対応した健康施策が一層求められており、国民の健康維持・増進の重要性が高まるなかにおいて、厚生労働省を中心に国民の一人ひとりの健康づくりに視点を据えた様々な取り組みが段階的に進められてきた。
平成27年度より開始された第一期データヘルス計画は、国の成長戦略として医療情報(レセプト)や健診結果の情報等のデータ分析に基づき、PDCAサイクルで効率的・効果的な保健事業を実施する取り組みであり、平成27年度からすべての健康保険組合に実施が義務付けられている。
平成三十年以降は第二期データヘルス計画が開始され、令和五年度までの実施となっており、以降第三期データヘルス計画が控えている状況にあるなか、市区町村自治体に保険事業に対する取り組みの現状について聞いた。
アンケートの回答数は464件である。
・各市区町村において注力している保健事業
各市区町村が注力する保険事業について聞いたところ、「特定健康診査の実施率向上に関する取組」が94.8%と最も多く、これに「糖尿病をはじめとする生活習慣病の重症化予防事業」が87.5%、「特定保健指導の実施率向上に関する取組」が75.2%と続いた。
また、現在早期対応が求められている「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」は47.7%であった。
Q.現在、貴市区町村において注力している保健事業を教えてください。(あてはまるもの全て)n=463
出典:シード・プランニング
・第2期データヘルス計画:中間評価実施状況
第2期データヘルス計画の中間評価について、「令和2年度以前に実施済み」と回答した市区町村が65.0%と最も多い。次いで「令和3年度に実施」と回答した市区町村が24.1%であった。
Q.第2期データヘルス計画の中間評価の実施状況を教えてください。(1つだけ)N=460
出典:シード・プランニング
・第2期データヘルス計画:中間評価結果から感じる課題
令和4年までに中間評価を実施した市区町村が課題に感じていることは、「現行計画で設定した指標・目標が評価しづらい」53.5%(n=223)が最も多く、「対策を行うための人員・人材不足」49.2%(n=205)、「専門職の配置など保健事業の実施のために必要な体制整備」48.9%(n=204)が続いた。
Q. 第2期データヘルス計画の中間評価について、「①令和 2 年度以前に実施済み」「②令和 3 年度に実施」「③令和 4 年度に実施」を選択した方に伺います。中間評価の結果、どのような課題があると感じましたか?(あてはまるもの全て)n=417
出典:シード・プランニング
・第2期データヘルス計画:中間評価後における事業の見直し状況
令和4年までに中間評価を行った市区町村のうち、「事業の見直しを行った」のは65.3%であった。これに、「次期データヘルス計画の際に見直す予定」が20.0%と続いた。
Q.第2期データヘルス計画の中間評価について、「①令和 2 年度以前に実施済み」「②令和 3 年度に実施」「③令和 4 年度に実施」を選択した方に伺います。中間評価の結果、事業の見直しを行いましたか?(1つだけ)n=415
出典:シード・プランニング
・第2期データヘルス計画:中間評価後に見直した事業
中間評価の結果見直した事業としては、「評価指標の見直し」が45.2%と最も多く、「個別保健事業計画の目標(値)」が41.9%、「データヘルス計画の目標(値)」が41.6%と続いた。
Q.第2期データヘルス計画の中間評価について、「①令和 2 年度以前に実施済み」「②令和 3 年度に実施」「③令和 4 年度に実施」を選択した方に伺います。中間評価の結果、どのような事業の見直しを行いましたか。(あてはまるもの全て)n=341
出典:シード・プランニング
・第2期データヘルス計画:中間評価を行うために活用したデータ
自治体が、中間評価を行うために活用したデータとして最も多かったのは、「KDB(国保データベース)」で92.4%、次いで「市町村国保のレセプト・健診データ」が83.8%で、それ以下を大きく引き離した。
Q.第2期データヘルス計画の中間評価について、「①令和 2 年度以前に実施済み」「②令和 3 年度に実施」「③令和 4 年度に実施」を選択した方に伺います。中間評価を行うために活用したデータを教えてください。(あてはまるもの全て)n=383
出典:シード・プランニング
・第3期データヘルス計画:計画作成状況
第3期データヘルス計画の作成状況について聞いたところ、令和5年度に作成予定という回答が96.1%であり、令和4年度に作成済みと回答した自治体は1.1%にとどまった。
Q.第3期データヘルス計画の作成状況について教えてください。(1つだけ)n=462
出典:シード・プランニング
・第3期データヘルス計画:特に強化したい保健事業
第3期データヘルス計画において、自治体が特に強化したい保険事業としては、「特定健康診査の実施率向上に関する取組」が83.6%と最も多く、これに「糖尿病をはじめとする生活習慣病の重症化予防事業」が80.1%、「特定保健指導の実施率向上に関する取組」が61.5%と続いた。
また約4割超の自治体が「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」を強化したいと回答した。
Q. 第3期データヘルス計画の策定にあたり、特に強化したい保健事業があれば教えてください。(あてはまるもの全て)n=452
出典:シード・プランニング
【本調査の概要】
■調査対象
全市区町村1,741×2セクション(健康推進事業および介護事業担当課)
回収数464件(回収率13.3%)
■調査方法 郵送アンケート調査
■調査期間 2022年11月21日~2023年12月31日
■調査主体 株式会社シード・プランニング デジタル行政 編集部