【福井県福井市】波の流れや高さを計測する自動観測ブイのデータにより漁業を効率化[先進事例]
漁業の現場では、波が高いことや潮の流れが速いことが理由で、漁場に行っても網の引き上げができずにそのまま帰港しなくてはならないことがある。水揚げ量の低下や燃料のロスなどの損失が発生するため、出漁判断の適切化は漁業関係者の間で長年の課題だった。福井県福井市はこの問題を改善するために、令和3年度定置網漁業において流速や波高を計測するブイの設置を推奨し、補助を行った。
システムの仕組みと狙い
海上に設置したブイが収集した潮流や波などの状況を、情報伝達技術によってクラウドを経由し、陸上にいる漁業従事者の端末にリアルタイムで表示する。これによって漁業者は出港前に漁場の状況を確認し、出港の可否を判断する。海上の情報を事前に把握することで漁ができない日に船を動かす必要が無くなり、燃料費の削減や漁業従事者の負担を軽減するとともに、航行のリスクを減らして安全を確保できる。
設置後の変化
自動観測ブイ装置の設置において、令和3年度内閣府の地方創生水深交付金を活用した。設置後、漁業従事者が自身のスマートフォンで漁場の情報を確認できるようになったことで、これまで勘や経験に基づいて決めるしかなかった出漁の可否が定量的に判断できるようになった。人件費や燃料費など漁業従事者の経費負担を減らし、出漁の効率化に役立っている。
【参考情報】
人口:26.2万人
※本記事は令和4年9月に総務省より公表された「地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第2.0版】」を基に作成・編集している。
総務省「自治体DXの推進」: https://www.soumu.go.jp/denshijiti/index_00001.html
「地域社会のデジタル化に係る参考事例集【第2.0版】」:
https://www.soumu.go.jp/main_content/000835268.pdf
(執筆:デジタル行政 編集部)