戸田市、NPOカタリバとオンラインを活用した不登校児童生徒の学び支援に関する連携協定を締結[ニュース]
埼玉県戸田市は、認定特定非営利活動法人カタリバと、2022年7月26日(火)、オンラインを活用し不登校・長期欠席の子どもたちの学びの充実を目指す連携協定を締結した。この連携を通して学びの選択肢の充実化・多様化を図ることで、より包括的に、子どもたち一人ひとりのニーズに合った学びを実現していくことを目指す。
2020年度、文部科学省による調査で、日本の小中学校において不登校の児童生徒をふくむ「長期欠席者」の数が、過去最多である約29万人に上ることが明らかになった。このような子どもたちをサポートするために自治体では「不登校特例校」や 「教育支援センター」の設置が努力義務とされているが、その設置率はまだ6割程度にとどまっており、また、不登校の児童生徒のうち実際に相談や指導につながることができていない子どもが3割以上にのぼるなど、公的支援が不足しているという課題も見えてきている。
戸田市は、かねてより産官学連携による教育改革を積極的に推進してきた自治体のひとつ。不登校支援においては、支援の指針となる「戸田型オルタナティブ・プラン」を策定し、「戸田型校内サポートルームの設置」「不登校対策ラボラトリーの設立」「社会に開かれたネットワークの構築」を三つの柱として、学校内のサポートや相談窓口の設置だけでなく、地域への認知啓蒙活動などをおこない、社会全体での子どもの学びを支える包括的な支援のかたちを模索している。
今回の連携では、これまでのリアルな場を中心とした支援の枠組みの中ではなかなかつながることが難しかった”家から出ることのできない子どもたち”へのアプローチを強化。カタリバと連携してオンライン不登校児童生徒支援の仕組みを構築することで、より包括的な支援体制の実現を目指す。7月26日には、東京都杉並区のカタリバ本部事務所にて、連携協定の締結式を行った。
■連携・協力内容
(1)個別の学習相談(アセスメント等)を踏まえた個別サポート計画の作成
(2)メンターの派遣等による学習等支援
(3)デジタルツールを活用した学びプログラムの提供
(4)効果的な支援方法等の研究開発を目的としたデータ分析
カタリバでは、2015年より不登校の児童生徒への支援事業を開始しており、昨年度からは、なんらかの理由で学校に通わない/通えない子どもたちへも学びの機会や居場所を届けられるよう、自治体と連携してオンラインを活用した支援プログラムを実施している。オンラインの学び場(room-K)や不登校の子どもを持つ保護者が悩みをオンラインで相談できる窓口などを立ち上げ、自治体と連携して、オンラインを通して一人ひとりに合わせた学びや居場所を届ける仕組みを模索している。
▼オンライン不登校支援プログラム「room-K」について
https://futoko.katariba.online/
カタリバがこの支援を始めてから1年以上がたち、少しずつオンライン支援の手応えも感じられるようになったという。たとえば、利用者に対して行ったアンケートから、これまで1年以上学校に行くことができていなかった子どもの約8割が、オンラインの場であれば週に1回以上活動に参加できていることがわかった。また、「オンライン学習の場で新しい興味関心をみつけ将来の夢を語るようになった」「学校ではクラスに馴染めなかったがオンラインの場で新しい友達を見つけられた」という前向きな声も届き始めている。
文部科学省「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf
(執筆:デジタル行政 編集部 和泉 理子)