神戸市、「スマート給付実証事業」を開始[ニュース]

神戸市、「スマート給付実証事業」を開始[ニュース]


神戸市は、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「Region Ring®」を活用した自治体福祉給付券のデジタル化である「スマート給付」の実証事業を開始した。

背景・経緯

人口減少・高齢化、新型コロナウィルス対応等の中、自治体事業には一層の業務効率化・利便性向上が求められてる。神戸市では、「行財政改革方針2025」(2020年9月)で示した「スマート自治体」(※1)の実現に向けて、業務改革・DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、行政手続きスマート化率(※2)70%やペーパーレスの徹底等を掲げている。

MRIは、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス(※3)を提供し、地域商品券やポイントなど自治体の市民向けサービスのDXに取り組んできた。株式会社アイネスは、神戸市の福祉分野における基幹システムとしてWebRings®(※4)の導入(2023年春)に向けた検討を進めている。

神戸市・アイネス・株式会社三菱総合研究所は、三者の取組み・強みを組み合わせ、市民、事業者、自治体の三方一両得を目指したDXのモデルケースの一つとして、紙おむつ支給事業を対象に、紙の給付券のデジタル化である「スマート給付」の実現に向けた実証事業を実施する。

事業の概要

(1)スマート給付の特徴
「スマート給付」は、紙の福祉給付券をデジタル化することにより決済の利便性向上や精算業務の効率化に資する先駆的なDX事業。スマートフォンアプリに電子給付券を発行し、二次元バーコードを活用して決済する。事業者の商品ごとに二次元バーコードを発行し、1円単位での利用が可能(現金併用も可能)。

(2)実証概要
内容:給付アプリ提供、電子給付券の発行と運用を通じた、利用者にとっての利便性や、事業者、神戸市の業務効率化に関する課題の検証等
実証時期:2022年10月~2023年3月(第3四半期、第4四半期)
実証対象事業:紙おむつ支給事業(神戸市福祉局介護保険課所管)(※5)
利用対象者:24名(※6)
協力事業者(店舗):16事業者19店舗(※7)

(3)期待される効果
紙おむつ支給事業では、これまで紙おむつ券を紙券で配布・精算していたが、1枚1000円単位でおつりが出ない、精算の実績報告書作成に手間がかかる等の課題があった。今回の実証事業では、紙券をデジタル化することにより1円単位での利用が可能となる。また、取引データを即時確認して精算に活用することで、利用者にとっての利便性向上や事業者、神戸市の業務効率化が見込まれる。

今後の予定

実証事業を通じて、MRI(株式会社三菱総合研究所)では、自治体における業務デジタル化に伴う課題を洗い出し、今後に向けた改善およびアイネスのWebRings®との連携を検討する。また、紙おむつ支給事業における今後の展開や、自治体における他の事業等のDXに向けた検討により、「Region Ring®」を活用した地域課題解決に向けた効率的・効果的なDXを推進し、地域における多様な資金循環の実現を目指す。

(※1)スマート自治体については、以下の神戸市WEBサイト参照
神戸市:神戸市行財政改革の取り組み
https://www.city.kobe.lg.jp/a44881/shise/gyozaisekaikaku/management/gyouzaisei/index.html

(※2)スマート化率=実際にスマート化した手続きの総処理件数/スマート化できる手続きの総処理件数
なお、ここでいうスマート化とは、「電子申請のほか、Web サイトを通じた郵送申請の支援や、申請内容の事前登録など窓口滞在時間を短くする新時代の窓口申請の仕組みを構築すること」を指す。以下の神戸市WEBサイトを参照。
行財政改革方針 2025
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/12444/housin.pdf

(※3)地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「Region Ring®」
https://www.mri.co.jp/service/platform-services-for-regional-digital-currency.html

(※4)2000年に発表された国内初のWeb型総合行政情報システム
WebRings®(ウェブリングス)
https://www.ines.co.jp/service/webrings.html

(※5)神戸市:紙おむつ支給事業
https://www.city.kobe.lg.jp/a46210/kurashi/registration/shinsei/koureisha/wh1306008.html

(※6)令和4年6月1日~7月31日、紙おむつ支給事業の利用者に対してアンケートを実施し、スマート給付への参加希望を確認し、希望者のうち事業者の参加意向等を踏まえて24名の対象者を選定

(※7)公募により選定している紙おむつ支給事業受託事業者18者に対して実証事業へ協力を依頼し、16者(19店舗)より参加協力を獲得


(執筆:デジタル行政 編集部 加納 奈穂)