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大阪市森之宮地域にて、防災・見守りサービスの実証実験にコミュニケーションロボット「BOCCO」を活用[ニュース]

大阪市森之宮地域にて、防災・見守りサービスの実証実験にコミュニケーションロボット「BOCCO」を活用[ニュース]

大阪府大阪市森之宮地域にて2021年12月〜2022年3月31日の期間、コミュニケーションロボット「BOCCO」を活用し、防災・見守りサービスの実証実験が実施された。

本事業は大阪スマートシティパートナーズフォーラム(URL)の補助事業として、ユカイ工学株式会社、社会医療法人大道会・森之宮病院、セコム株式会社の3者が協力して実施したもの。

森之宮地域(大阪府大阪市城東区森之宮)は、区内でも高齢者が32.6%と多く、独居率が47.7%に上り、毎年数名の孤独死が発生している。地域の高齢化に加え、コロナ禍の影響も受け、近年は以前よりも住民間の接点も減っており、大規模な災害が発生した場合の避難誘導にも課題を抱えている。

本課題に対し、各個人へ効率的にサポートをするため、ICTを活用した防災・見守りサービスを検討するも、スマートフォンの利用率が40%未満のため、特に高齢者(特に80代以上)への展開が困難な状況にあり、タブレットなどのデジタルインターフェイス以外のツールを模索していた。

このような状況を受け、このたびは、高齢者宅内に設置したコミュニケーションロボット「BOCCO」(ボッコ)を介して気象・防災情報や、森之宮病院からの健康や医療に関する情報を含め、セコムのオペレーターからの情報提供や健康状況などの確認をおこなうことができる実証実験を実施した。また、近隣のコンビニエンスストアで日用品の注文や配達などの買い物補助のサービスを行った。

実証実験は、70代男性2名、80代女性1名(計3名)のモニターに対し、2021年12月〜2022年3月31日の期間実施した(うち、買い物補助サービスについては、80 代女性1名のみモニター参加した)。

その結果、下記の効果が確認された。

【5段階評価(5が高、1が低)のアンケート結果】
◯ 孤独軽減や安心感の増加への貢献:3.67点 
◯ 防災、地域の情報伝達の改善:3.67点

【定性評価】
・ロボットを通じた対話に対し「話し相手ができて楽しかった」と回答
・モニターの1名からは、オリジナルキャラクターを記載した手紙を受領するなど、総じて満足度は高かった。

なお、本実証実験の振り返りとして、森之宮病院は下記のようにコメントを述べている。

利用した高齢独居男性は「話し相手が増えてさみしさを紛らわせることができた」、「地域の情報をお知らせしてくれたことで、外の様子が解り地域と近づけた気がした」と意見され、BOCCOの利用は「孤立感の軽減」につながると考えます。軽度の認知症高齢者の利用時は、概念の理解やボタン操作も難しく双方向の会話はできませんでしたが、一方向のお知らせ機能により服薬忘れや曜日の確認などができ、精神的な安定につながる効果を確認できました。「お腹が痛い」「吐き気がする」などの体調不良のお話への対応は今後の検討課題だと感じます。BOCCOは話し相手か、医療機関とつながる体調管理ツールか…運用次第で様々な可能性が考えられます。医療機関が本運用チームに関わる際は、上記を踏まえた留意点の申し合わせが必要だと感じます。

(執筆:デジタル行政 編集部 柏 海)