神石高原町、町民主体のドローンを活用した災害対応の仕組みづくりを推進[ニュース]
広島県神石高原町は町民主体のドローンを活用した災害対応の仕組みづくりを推進している。
近年、ドローンが多くの自治体や企業で活用されていく中で、社会実装(ドローンを積極的に活用して地域、社会課題や問題解決に役立ていくこと)が重要なテーマとなっている。広島県では2018年に集中豪雨により山間部で広域にわたる大規模な被害が発生し、自治体単独では短時間で状況把握を行うことが難しい実態が浮き彫りになった。
神石高原町では、離れた地点を上空から撮影できるドローンの利点に着目し、人が入るには危険な地域や、災害状況が不明な地域において、安全に短時間で情報収集・把握することを実現するべく、町内の災害対応に積極的にドローンの活用を取り入れてきた。令和元年にはドローンコンソーシアムを立ち上げ、ドローンを活用した災害対応に必要なドローンの操作スキルや知識を学び、これまで2年間で神石高原町の町民約8名をドローンの操作が出来る担い手として育成してきた。
令和3年度は、町民主体で災害時に対応ができるようになることを目的として以下の3つの活動を実施した。
① ドローンを活用した災害対応講習の実施
令和元年、令和2年に神石高原町のドローンの担い手となった8名の町民向けに、協力会社であるパーソルプロセス&テクノロジー株式会社にて、災害時の運航に特化した3つのドローンの災害対応知識の習得を目指した講習を実施した。
(1)安全運航(災害状況下における、機体による事故を防ぐ運航の方法の理解)
(2)空間情報(災害状況下における、ドローンによる災害場所撮影写真を作成するための飛行設定(高度、ルート)の考え方の理解)
(3)自然災害(災害状況下における、2次災害にならない離着陸地点(配置)の考え方の理解)
② ドローンを活用した災害対応フロー(災害現場をドローンで撮影し、自治体へ共有するまで)の構築
発災後に担い手が町の要請を受け、災害現場に自らの安全を確保しながら、情報収集及び画像処理、関係者へ共有する仕組みを構築した。令和4年2月、3月には実際にドローンを飛行させ、災害時の自治体の要請から共有に至るまでの一連のプロセスの演習を行った。
参加した担い手の方々より、「災害時の役場との連携フロー・アプリの使い方」について理解できたという声も挙がった。一方で、難しかった点として、「自動航行の分解能と速度の関係を理解する必要がある」という声も挙がった。
③ ドローンの担い手を増やす活動
神石高原町では令和元年から毎年担い手を増やしている。今年度は町内にあるドローンスクールを受講し基礎的なドローンの知識や操作方法を学んだ5名の担い手に対し、令和4年2月にパーソルP&Tによる法令順守及び、安全運航に関する講習を行った。
神石高原町では町内の広大な土地を活用したドローンフィールドも令和4年度よりオープンさせ、ドローンの社会実装へのサポートも行っていく。今回の成果を今後ほかの自治体や地域、産業にも広げていくことを目指している。
(執筆:デジタル行政 編集部 柏 海)