βモデルの導入は6%のみ。360市区町村を対象とした自治体ネットワーク環境アンケート[ニュース]
自治体へセキュリティプラットフォームなどを提供しているA10ネットワークス株式会社は、全国の自治体を対象に実施した「自治体のネットワーク環境モデルに関するアンケート」の結果を発表した。それによると、政府の主導するクラウド・バイ・デフォルト原則の流れから、クラウドサービスの利用が増加する中で、89%の自治体がαモデルでネットワーク環境を構築しており、βモデルへの導入は進んでいない現状が明らかとなった。
自治体のネットワーク環境は、セキュリティ対策の観点からLGWAN(総合行政ネットワーク)接続系とインターネット接続系、マイナンバー利用事務系を分離するαモデル(三層分離)が推奨されてきた。しかし総務省は2020年12月、利便性向上を目的として、LGWAN接続系の一部をインターネット接続系に移行するβモデルを新たに提言している。
A10ネットワークスは、このような背景の中、自治体のネットワーク環境モデルの現状を明らかにすべく、全国の自治体360市区町村のICT従事者を対象にアンケート(※1)を実施した。
※1 全国の自治体360市区町村のICT従事者に対する電話による聞き取り調査、実施期間は2022年3月1日~3月31日
全国の自治体に現状のネットワーク環境モデルについて質問したところ、約9割となる89%の自治体がαモデルで運用しており、βモデルを導入している自治体は6%にとどまる結果となった。
現在、デジタルトランスフォーメーションの推進や新型コロナウイルス感染症対策のために、自治体におけるクラウドサービスの利用が増加している。αモデルにおいては、クラウドサービスにアクセスする端末とLGWANに接続をする端末を分離する必要があり、テレワークやデータの受け渡しにも煩雑なフローが発生するなど、クラウドサービスの利便性を低下させてしまう懸念がある。自治体の取り得るネットワーク環境の選択肢は増えた一方で、導入に伴うコストや時間などが要因でβモデルの採用は進んでいない現状が伺える。
(執筆:デジタル行政 編集部 渡辺 龍)