【国立科学博物館】「剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”」非公開コレクションを中心に剥製の3Dモデルに種情報を付加して公開 [ニュース]
国立科学博物館は、大型哺乳類を主とする「ヨシモトコレクション」の剥製3Dモデルと生物種の様々な情報を図鑑のように閲覧できる「剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”」 (https://yoshimoto.kahaku.go.jp/3d/)を公開した。
Yoshimoto 3Dでは、通常展示室では見ることのできない動物を中心に23点(23種)の剥製3Dモデルを自由な角度と大きさで閲覧できるだけでなく、剥製標本としての詳細や、その生物種としての分布や特徴、絶滅危惧種なのか否かといった情報を、一つのページの中で一度にまとめて見ることができる。さらに、剥製一覧では、名前や、大きさ、採集された時期などで並び替えや検索も可能であり、3Dモデルだけでなく、情報も様々な角度から捉えられる。他の動物データベースやWeb生物百科事典の関連情報へのリンクも掲載されており、哺乳類を知るポータルとして学校教育や専門研究、そして一般の方の閲覧まで幅広く活用が可能になっている。
国立科学博物館収蔵のヨシモトコレクションは、ハワイの実業家、故ワトソン T.ヨシモト氏(1909〜2004)より寄贈された世界的規模の標本コレクション。高度な技術で作成された約400点の動物剥製を中心としており、既に採集が難しい地域の動物種や、採集時の詳細な記録を多数含むことから、学術的価値も高いものとなっている。しかし、その多くは、収蔵庫に収められており、展示室で見ることはできない。
そこで、ヨシモトコレクションの中から、これまでに作成してきた23点の哺乳類剥製3Dモデルについて、その剝製標本としての情報と生物種としての情報を集約し、Web上で閲覧可能な「剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”」を開発し正式公開した。剥製3Dモデルそのものだけでなく、図鑑のように閲覧できる多数の情報と、各動物種を比較や検索可能なインターフェイスを備えている。世界的な生物データベース群(※1)から情報を取得しており、最新の動物の状況も確認できる。
本サイトでは、普通は見られない自由な角度と距離から剥製3Dモデルを眺めることができる。その体形や、体色、大きさ等に興味を持った方が、より深く動物について理解するきっかけとなり、教育的な活用に繋がる。標本の採集時期・場所の詳細、学名命名の基準となった標本の産地や、生物種としての分布、生物集団としての減少や増加の傾向、絶滅危惧種か否かなどの情報は、動物の分類や、生物多様性を研究する上での材料となり得る。さらに、本サイトを起点として、他のデータベースへのリンクを辿り、より多くの多様な生物情報データベースに到達することもできる。
今後も、本サイトでは、剥製3Dモデルの拡充や、新たな生物情報の収集と公開など、情報と機能の追加をしていく、としている。
※1 国立科学博物館の標本・資料統合データベース(http://db.kahaku.go.jp/webmuseum/)とサイエンスミュージアムネット(http://science-net.kahaku.go.jp/)、哺乳類の分類や種名を知る上での標準的なデータベースとして、日本哺乳類学会の作成した世界哺乳類標準和名リスト(https://www.mammalogy.jp/list/)やアメリカ哺乳類学会の作成したMammal Diversity Database(https://www.mammaldiversity.org/)など、世界中の生物位置情報を集めたデータベースであるGlobal Biodiversity Information Facility(https://www.gbif.org/)、Webサイト上の生物百科事典であるAnimal Diversity Web(https://animaldiversity.org/)やEncyclopedia of Life(https://eol.org/)などの情報を利用している。
【Yoshimoto 3Dの剝製サムネイル表示】
標本の和名や採集日、3Dモデルの高さなどでの並び替えができる。また、表形式のリスト表示にも切り替えられる。
【Yoshimoto 3Dの3Dモデル上の説明表示】
動物の①股関節、②膝関節、③足首の位置を示している。人間など他の動物と体の構造を比較して、理解を深められる。
【Yoshimoto 3Dの生物種のレッドリストカテゴリー表示】
外部データベースである国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature)のレッドリスト(絶滅の恐れのある生物種リスト)に記載されている種では、レッドリストカテゴリー(どの程度絶滅のおそれがあると評価されているかのカテゴリー)やそのカテゴリーがいつの評価にもとづくものか、個体数の増減傾向などを確認できる。
【公開Webサイト】
剥製3Dデジタル図鑑 “Yoshimoto 3D”
https://yoshimoto.kahaku.go.jp/3d/
【ヨシモトコレクション情報の整備と監修】
独立行政法人国立科学博物館 動物研究部 研究主幹
川田 伸一郎(かわだ しんいちろう)
【国立科学博物館】
ホームページ:https://www.kahaku.go.jp/
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(執筆:デジタル行政 編集部 與那嶺 俊)