市民とオンライン申請の橋渡しに―導入自治体数180超の「Yahoo!くらし」とは?![インタビュー]
ヤフーが提供する「Yahoo!くらし」は、導入自治体数が180超となり幅広く普及が進んでいる。
同サービスの概要や開発の背景、自治体における導入状況などについて、ヤフー株式会社 Yahoo!くらし サービス責任者 河野 清宣氏にお話を伺った。
(聞き手:デジタル行政 編集部 野下 智之)
- 「Yahoo!くらし」の概要について、お聞かせください
国民の生命・財産に関する行政情報を分かりやすく提供することを目的に2019年8月より開始しました。
コロナワクチン情報や行政手続情報、病院や図書館などの公共施設の場所、防犯情報、自治体からの緊急情報・地域情報や行政手続きのオンライン申請サービスも提供しています。
オンライン申請サービスの対応自治体・手続きの拡大や利便性の向上などを通じて日本の行政DX化、また、行政DX化実現による社会課題の解決(役所の生産性向上やユーザーの生活利便性向上等)を目指したいと考えています。
-「Yahoo!くらし」の使い方について、お聞かせください。
ユーザーは「Yahoo!検索」にて「児童手当」や「介護保険」など行政手続きを検索することで、Yahoo! JAPAN IDの登録住所から自動で自治体を判定し、自治体別のオンライン申請に進めます。また、申請に必要な氏名や住所なども、Yahoo! JAPAN IDの登録情報から自動で入力されるので申請作業を軽減でき、行政手続きの検索から申請までをシームレスに行うことができます。なお、2022年2月時点で参画自治体数が181、自治体登録手続総数が1,291と堅調に伸びています。
-「Yahoo!くらし」の機能を開発・提供した思いや背景はどのようなものでしょうか?
インターネットを活用し、さまざまなライフステージにおける行政手続をわかりやすくオンラインでストレス無く実現できる世界を目指していきたいという思いがあります。2020年よりコロナ禍を通じ、行政手続のインターネットでの検索行動が増加しており、その需要にお応えするためにも、オンライン申請サービスの提供を開始しました。オンライン申請サービスを通じて日本の行政DX化、また、行政DX化実現による社会課題の解決(ユーザーの生活利便性向上や役所の生産性向上等)を目指していきたいと考えています。
-自治体における「Yahoo!くらし」の導入メリットをお聞かせください
自治体は「Yahoo!くらし」を導入いただくことで、以下のメリットが得られます。
・インターネット検索サービス「Yahoo!検索」やYahoo! JAPANトップページをはじめ、Yahoo! JAPANが提供する幅広いサービスに表示されるため、多くの住民に届く
・掲載費用無料
・オンライン行政手続のためにゼロからシステム構築する必要がない
・行政手続のオンライン化によって業務効率化が見込める
-貴社オンライン申請サービス提供における今後の展望についてお聞かせください
現在の対応手続きは子育て、介護、ワクチン証明等、先ほどお話しした通り1,291手続き、参画自治体数は181となっています。この網羅性を可能な限り拡大していきたいと考えています。
また、引っ越しのように自治体がまたがり、複数の行政手続が必要になるケースにおいては、ワンストップで申請が完結する世界を行政と連携して目指していきたいと考えています。
-自治体が「Yahoo!くらし」を導入するためには、どのようにすればよろしいでしょうか?導入までのステップについてお聞かせください。
以下の手順で導入することが可能です。
1.マイナポータル「ぴったりサービス」に利用登録
2.マイナポータル「ぴったりサービス」にて手続きを登録
手続き登録の際、「電子申請を受け付ける」の「はい」を選択後、「標準フォーマットを使用する」にチェックをすると「Yahoo!くらし」をはじめとする「Yahoo!検索」などのYahoo! JAPANの各サービスにも掲載されます。別途ヤフーとの契約は不要です。
3.登録いただいた手続きをデジタル庁運用部局が承認
4.「ぴったりサービス」に公開後、「Yahoo!くらし」をはじめとするYahoo! JAPANの各サービスに掲載され、ヤフーのオンライン行政手続きサービスが利用可能となる
また、自治体向けに導入方法や、導入メリットの概要を説明するセミナーを全10回開催し、680を超える自治体の参加がありました。好評であったため、今後も開催したいと思っております。
-実際に導入された自治体からのお声があればお聞かせください。
導入をしていただいている宮崎県都城市様からは、以下のようなコメントをいただいており、大きな期待を寄せていただいています。
「国も自治体も民間も、行政手続きのオンライン化の促進という同じ方向を向いているわけですから、それぞれ連携することが市民サービス向上の点でも、コストの点でも欠かせません」
「市民の皆さんは、さまざまな申請についてネットで検索した上でオンライン申請のページにたどり着くことが多いので、ヤフーのサービスとマイナポータルの連携は、市民とオンライン申請の橋渡しをすることになります」
「オンライン申請の入り口となり、利用拡大につながります」