経済産業省と総務省、プライバシーへの取組に関するアンケート結果を公開 [調査データ]
経済産業省と総務省は、企業がプライバシーの取組をより前に進められるよう、企業向け・消費者向けにプライバシーの取組に関するアンケートを実施し、速報版の結果を公開した。企業のプライバシーに対する取組状況とともに、消費者のプライバシーへの関心や企業のプライバシーの取組に対する消費者の捉え方などが明らかになった。
今後、結果について詳細な分析を行い、個別ヒアリング等により実践事例なども取りまとめた調査結果報告書を年度末目途に公開する予定としている。
【調査結果の主なポイント】
① 消費者の消費行動(意識)
・消費者の73.6%は、プライバシー保護に関して、高い関心を示している。
・消費者の70.4%は、金銭的利益やポイントの有無に関わらず、個人に関する情報の提供に関して、慎重である。
・消費者の88.5%は、類似商品の選択の際に、企業のプライバシーへの取組を考慮している。
・類似商品選択の際に企業のプライバシーへの取組を考慮するかについて、29才以下の若者層の「非常に考慮する」の回答比率が高く、プライバシーに関する感度が高いことが伺える。
② 消費行動に対する企業の考え・実際の取組状況
・企業の58.7%は、企業自身がプライバシーへの取組を発信することで、少なからず消費者の消費行動に影響を与えることができると考えている。
・プライバシーに関する姿勢の明文化・保護責任者・保護組織に関しては、約半数の企業が現在取り組んでいる一方、「外部の有識者などの第三者に意見を聞く」「ルールの策定」「社内研修」に関しては、取組が進んでいない。
・消費者とのコミュニケーションは、まだ多くの企業が道半ばであることが伺える。
③ プライバシーガバナンスガイドブックの認知度と必要性
・プライバシーガバナンスガイドブックの存在は、企業の65.3%が「知っている」が、プライバシーガバナンスガイドブックの内容に関しては企業の72.9%が「知らない」と回答している。
・今回のアンケート調査を通し、プライバシーガバナンスの概要を知った企業の86.6%は、プライバシーガバナンスへの取組が必要だと回答している。
※「プライバシーガバナンスに関するアンケート調査」は、経済産業省受託事業「令和3年度デジタル取引環境整備事業(データ活用・流通に係るプライバシー関連調査・検討会運営)」の一環として、委託事業者である一般財団法人日本情報経済社会推進協会(略称:JIPDEC)が実施。
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査期間:企業向け2021年9月、消費者向け2021年8月
調査対象者:
(企業向け) IoT推進コンソーシアム(※)会員企業等
(消費者向け)調査会社登録モニター
有効回答数:企業向け291社、消費者向け314名
※IoT推進コンソーシアム(http://www.iotac.jp/)は、IoT/ビッグデータ/AI時代に対応し、産学官の連携を目指すコンソーシアム。分野・産業の壁を超えたデータ流通の課題や活性化の検討を目的とした「データ流通促進ワーキンググループ」(座長:森川博之東京大学大学院教授)の下に「企業のプライバシーガバナンスモデル検討会」(座長:佐藤一郎国立情報学研究所教授)が設置されており、今回はその会員企業等を中心に調査を実施した。
(執筆:デジタル行政 編集部 與那嶺 俊)