eラーニングの普及から垣間見る、教育行政DX化の兆し[インタビュー]
株式会社ネットラーニングは、1998年の創業から20年以上にわたりeラーニングサービスを提供し、蓄積されたノウハウを活かし独自に開発した学習専用プラットフォーム「Multiverse®(マルチバース)」を展開している。
Multiverse®上では同社の様々な研修や、教育行政DXに関連したサービスが用意されており、一般企業にとどまらず、学校・教育委員会といった教育機関向けに提供されており、約5,300の導入先と、のべ学習者数は7,300万人の利用者を有している。
同社教育事業部の岡田祥成氏に、eラーニングの普及と教育・行政の今後について、お話を伺った。
(聞き手・執筆:デジタル行政 編集部 大野 裕貴)
教育機関が導入する、eラーニングプラットフォームとは
―御社が展開されている、「Multiverse®」についてお聞かせください。
Multiverse®は、学習をする全ての方にご利用いただけるオンライン教育学習プラットフォームです。社会人や学生はもちろん、教員、保護者、自治体職員の方までどなたでも最適にご利用いただけるサービスとなっています。
―特徴や強みについてお聞かせください
Multiverse®はLMS(学習管理システム:Learning Management System)であると同時に、当社のサービスプラットフォームでもあることが特徴です。したがって、学習者は学びやすい環境を、管理者は管理しやすい環境を同時に実現することができます。最近のオンライン学習のキーワードであるハイブリッド型学習や新しいオンライン学習環境をMulitiverse🄬上では全て実現することができることが強みです。
サービスの提供はインターネット上で全て完結するため、場所や状況などに縛られず様々な場面でご利用いただけるという点が利点として挙げられます。
教育学習プラットフォームとして、学校で活用されているものとしては、ライブ授業を配信するNetLive機能や、学習履歴(学習ログ)を取得・保存する機能、授業中のアンケート機能、何回手を上げたかを集計する機能というように、多様な利用シーンに応えられるように開発がなされています。
ダッシュボード機能では教職員を始めとした管理者側でプラットフォームに蓄積された情報や学習の記録を集めて分析することで次の学習へと活用していくことができます。
―学習のコンテンツには、どういったものがあるのでしょうか?
一例を挙げると、小中学生向けにマサチューセッツ工科大学のOER(Open Educational R
esources。自由に誰でも使用することができる教育資源)を日本語に翻訳した学習コンテンツをを提供したり、大学生向けにはTOEIC対策講座や就職活動に活かせる講座の他、データサイエンスやAIについて学べる講座などをコンテンツとしてご用意しています。
また、教職員向けの研修では2021年の4月に著作権法の法改正がありましたが、これにいち早く対応した「教職員のための著作権の基礎(改正著作権法対応)」教材や「先生のための情報セキュリティ対策 ガイドライン対応版」教材をリリースしています。著作権法や情報セキュリティ対策講座はいま初中等市場で進められているGIGAスクール構想推進やデジタル教科書との関係でも注目されているところなので、多くの教職員の皆さまに当社の教材をご受講いただいて著作権や情報セキュリティについての理解を深めていただくことができます。
もう一つご好評いただいているサービスとして「かんたんeラーニング」というサービスがあります。こちらはこれまで集合研修で活用されていたパワーポイントのスライドやPDF資料などをそのままeラーニングの教材にすることができるサービスです。このサービスによって過去の研修資料を活かしたeラーニングを実施できるということで、多くのお客様に大変ご好評をいただいているサービスです。
―公立の学校や、教育委員会などにおける導入はどのような状況でしょうか?
公立の学校、教育委員会における導入数はかなり増えてきています。以前は大学や、私立学校で採用されている割合が大きかったのですが、最近では国公立と私立の差はほとんどなくご利用いただいていると感じています。
行政機関の内側からも進む、教育DX化ニーズの拡大
―今後の教育のDX化やeラーニングの活用をどのように見ていらっしゃいますか?
昨今のコロナ禍で行政全体のDX化の必要性が高まったこともあり、教育行政でも文部科学省のGIGAスクール構想から令和2年度中に小中学校に1人1台端末が導入されるなど、DX化していこうという流れは強くなっていると感じています。教育行政に関係するいくつかの団体に、当社は理事や委員として関わっていますが、その関わりが強くなってきていることからもそのことを感じます。
今後、ますます行政の業務におけるDX化の流れは加速していくと思いますし、それに伴い教育学習にeラーニングを取り入れる流れも進んでいくと考えています。
―従来の方法から変化することへの現場の抵抗感についてはどう思われますか?
私の感覚ではそういった抵抗感を感じたことはなく、抵抗感と言うよりも、どのように活用していけば良いのかが分からないという声が多いと感じています。
実はこれまでも行政機関の方からeラーニングのことを知りたいというお問い合わせはたくさんいただいています。
現状は、eラーニングのメリットが十分に認知されていないことも多くあると感じていますので、DXの浸透を追い風に、ご相談いただくお客様に応じたeラーニングのメリットを明確に発信していきたいと考えています。
―最後に学校、教育委員会の教職員に向けてメッセージをお願いします。
本当の意味での教育行政のDXが実現されるためには、そのためのプラットフォームが必要だと考えています。教育行政DX化が進む中にあっては、当社のサービスを活用した様々なお手伝いができると考えています。ぜひ一度当社にご相談いただければと考えています。