関西初!農地状況把握アプリ「ACTABA(アクタバ)」を導入!~衛星データを活用した遊休農地把握の効率化~ [ニュース]
神戸市農業委員会は、遊休農地把握の効率化を図るため、令和2年度から官民協働の課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」により、サグリ株式会社の農地状況把握アプリ「ACTABA」の市内農地での利用について検証してきた。その結果、令和3年度に実用性を確認できたため、本年度から利用を開始する。
1.課題・実証実験
(1)課題
① 農業従事者の高齢化等に伴い、長期間農作物の作付けをせずに遊休化した農地、いわゆる“遊休農地”が全国的に問題となっている。遊休農地は、病害虫の発生等により地域の農業に悪影響を与えるだけでなく、住環境の悪化等の様々な問題の要因にもなる。
② 遊休農地の増加を防ぐには、継続的な農地の現状把握が必要。農地の利用状況調査は目視による確認と、調査資料の作成や調査後のデータ入力、地図の作成等に多大な労力を要しており、こうした作業の効率化が課題となっている。
(2)実証実験
上記課題の解決に向け、農業委員会事務局では「Urban Innovation KOBE」にて、サグリ株式会社との実証実験を令和3年1月から6月まで行った。
(内容)
① 管内農地の位置・地番データと衛星データを連結
② 衛星データを活用した農地状況把握アプリ「ACTABA」によって算出された耕作放棄地率(遊休化している可能性を数値化したもの)の精度が、利用可能かを対象 農地の現地調査等により検証
(結果)
耕作放棄地率が概ね妥当な数値で算定されることが確認できた。
2.農地状況把握アプリ「ACTABA」概要
「ACTABA」は、衛星データとAIを用いて、各農地が遊休化している可能性を独自の技術で見える化する自治体向けアプリケーションサービス。「ACTABA」の活用により、調査の負担軽減や遊休農地の早期発見を通じて、農地の有効活用・地域活性化を目指す。
これまで、岐阜県下呂市や広島県尾道市・世羅町での導入実績があるが、関西では今回が初めての導入となる。
【ACTABAの仕組み】
衛星写真を使用し、農地の荒れ具合を人工知能(AI)が判断し、「耕作放棄地率」という数値で表示する。遊休化している疑いの高い農地ほど、その数値が高くなる。
耕作放棄地率は、衛星データと実際の遊休農地の判定データ・耕作農地のデータをAIに学ばせて解析している。利用を重ねることで、自身が学習することで、アプリの精度は更に高まる。
3.利用契約日
令和4年5月25日(水)
4.導入によって期待される効果
①早期発見・早期解消
利用を重ねていくことで、耕作放棄地率の算定精度が上がり、事務局が時系列の変化を数値として把握できるようになる。これにより、遊休化している可能性が高い農地を絞り込んで効率的に調査することで、遊休農地の早期発見・早期解消を目指す。
②現況調査の効率化
現地調査資料を紙からタブレット端末にすることで、所要時間を3割程度削減
③データ処理の省力化
遊休農地の判定結果や写真を現地調査時にタブレット端末に入力することで、調査後の紙地図での作業が不要
④時間の有効活用
上記の負担軽減により確保される時間を、遊休農地の発生防止・指導・あっせんなどによる遊休状態の解消に注力
5.開発企業概要
企業名:サグリ株式会社(代表取締役社長 坪井俊輔)
所在地:兵庫県丹波市氷上町常楽725-1
設立:平成30年6月
事業内容:衛星データ解析および機械学習による事業創出
公式サイト:https://sagri.tokyo/
(参考)Urban Innovation KOBEとは
柔軟な発想や優れた技術力を持つスタートアップと社会・地域課題を詳しく知る市職員が協働して最適な解決手法を見出し、サービスとして構築・実証までを支援する、国内自治体で初めての取組み。神戸市が抱える課題テーマを提示し、その課題解決を目指すスタートアップを広く公募。選考により選ばれたチームと市職員が協働開発を行い、市民によるテスト利用や市役所業務の中での試行導入、実証実験を通じて、本当に活用される新たなサービス開発を目指す。
https://urban-innovation-japan.com/
(執筆:デジタル行政 編集部 與那嶺 俊)